姫路市の空き店舗対策の現状と新たな課題
姫路市中心市街地では、長年にわたり空き店舗対策が地域活性化の重要な課題とされてきました。この記事では、これまでの取り組みの成果や現状、さらに浮かび上がる新たな課題について詳しく解説します。
現状の取り組みと成果
姫路市では、中心市街地の商店街を活性化するため、多岐にわたる取り組みを実施してきました。その中でも注目すべきは、空き店舗対策事業による家賃補助制度です。この制度は、新規出店者に対して一定期間家賃の一部を補助することで、空き店舗の解消と新規事業者の参入を促進することを目的としています。
令和2年度から令和5年度までの5年間で、新規出店店舗数は累計122店舗に達し、目標であった60店舗を大きく上回る結果となりました。この成果の背景には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で経営が悪化した店舗の退店が相次ぎ、それに伴う居抜き物件への新規出店が増加したことがあります。また、家賃補助制度が新規出店者にとって魅力的な支援策として機能したことも一因です。
さらに、姫路市では商店街全体の魅力向上を目指し、「中心市街地空き店舗対策事業」のほかにも、地域住民や観光客が立ち寄りたくなるようなイベントやイルミネーションの開催、商店街の設備改善を行っています。これにより、商店街全体の活気が向上し、来街者数の増加に貢献しています。
新たな課題の浮上
しかし、空き店舗対策の取り組みが一定の成果を上げた一方で、新たな課題も浮かび上がっています。以下に主な課題を挙げます。
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店舗の入れ替わりの激しさ 家賃補助制度によって新規出店が促進されましたが、補助期間終了後に退店する店舗も少なくありません。このため、短期間での店舗の入れ替わりが激しくなり、地域に根付いた店舗が少ない現状が課題となっています。安定した事業運営を可能にするための長期的な支援策が求められています。
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空き店舗の地域的偏り 商店街全体で見れば一定の進展があるものの、特定エリアでは依然として空き店舗が多く、長期間利用されていない物件も見受けられます。これにより、エリア全体の魅力が低下し、人の流れが限定的になるという悪循環が生じています。
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住居一体型店舗の低未利用 一部の空き店舗では住居と店舗が一体となった物件が多く、これらの物件は使い勝手が悪いため、新規出店者から敬遠される傾向があります。店舗動線と住居動線を分離するなど、物件の改修が求められています。
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地域住民の満足度の向上 市民アンケートでは、「魅力的・個性的な店舗が少ない」「店舗の営業時間が短い」などの不満が挙げられています。特に若年層や観光客のニーズに応える店舗が少ないため、地域住民と観光客の双方を満足させる店舗の誘致が重要です。
今後の展望と解決策
姫路市が空き店舗対策をさらに進展させるためには、以下のような取り組みが必要と考えられます。
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長期的な事業支援の強化 家賃補助制度に加え、事業者が安定して経営を続けられるような経営コンサルティングや販促支援を行うことが重要です。これにより、店舗の入れ替わりを減少させることが期待されます。
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空き店舗のリノベーション推進 使い勝手が悪い物件に対しては、行政や民間事業者が連携してリノベーションを進めることが必要です。特に住居一体型店舗では、現代のニーズに合った改修を行うことで新たな出店者を呼び込むことができます。
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地域の特徴を活かした店舗の誘致 姫路城をはじめとする歴史文化資源や観光資源を活用した店舗の誘致が重要です。たとえば、地元の特産品や工芸品を販売する店舗や、観光客向けのカフェ、レストランなどが挙げられます。
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デジタル技術の活用 スマートフォンアプリやデジタルサイネージを活用して商店街の魅力を発信し、空き店舗の情報をリアルタイムで提供する仕組みを構築することで、新規出店者の参入を促進できます。
結論
姫路市の空き店舗対策は、これまでに大きな成果を上げてきましたが、持続可能な地域活性化を実現するには、新たな課題に対応する取り組みが必要です。商店街が「住みたい」「訪れたい」と思われるエリアとなるためには、長期的な視点での支援策や地域資源を活用した店舗誘致が欠かせません。姫路市が目指す「にぎわう城下町」の実現に向け、さらなる工夫と努力が求められます。