災害リスクの認識と計画の背景
姫路市では、南海トラフ地震の発生が高い確率で予測されています。この地震はマグニチュード8~9クラスの規模で、広範囲にわたり甚大な被害をもたらすと想定されています。政府の長期評価によれば、今後30年以内の発生確率は70%から80%、50年以内では90%以上とされています。これを受けて、姫路市では防災・減災に向けた具体的な施策を進めています。
基本目標と取り組みの方向性
姫路市の防災計画は「市民の生命と財産を守る防災インフラの整備」「災害時における事業継続性の確保」「地域防災力の強化」など、4つの基本目標に基づいて策定されています。以下に、主な取り組み内容を紹介します。
1. 防災インフラの整備と耐震化
防災インフラの強化は、南海トラフ地震に備える上で重要です。姫路市では、公共施設や住宅の耐震化を進めるとともに、老朽化した空き家の解体を促進しています。また、防潮堤や防潮水門の耐震補強を行い、津波や高潮に対する防護力を高めています。
2. 防災教育と地域防災力の強化
防災教育を通じて、市民一人ひとりが地震発生時に適切な行動を取れるよう啓発活動を行っています。「ひめじ防災ネット」や防災ハザードマップを活用し、防災意識の向上を目指しています。
3. 救助・医療体制の確保
災害時には迅速な救助活動と医療提供が不可欠です。姫路市では、緊急消防援助隊の充実や避難所の拡充を進めています。
- 医療施設の強化: 災害時における医療機能の維持を目的とした耐震改修や物資の備蓄。
- 避難所運営: 地域特性に応じた運営計画と設備整備。
4. デジタル技術の活用
防災情報の収集と共有には、デジタル技術の活用が欠かせません。姫路市では、防災行政無線やスマートフォンアプリを通じて、市民にリアルタイムの情報を提供しています。
- 情報発信強化: 登録制メールやSNSを活用し、迅速かつ的確な情報伝達を実現。
今後の課題と展望
姫路市の防災計画は、市民の安全を守るための重要な基盤です。しかし、人口減少や高齢化の進行により、地域防災力の維持にはさらなる努力が必要です。また、デジタルデバイドの解消や、多様な住民ニーズへの対応も課題となっています。
姫路市は、これからも官民連携を強化し、持続可能な防災体制の構築を目指しています。